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エスロンタイムズ 97号に掲載されました。

芝川・新芝川清流ルネッサンスの導水管布設に呼び径800mm対応のリフトイン工法
830mの長距離推進を実現し、施工性の良さを証明

830mの長距離推進を実現したリフトイン工法

830mの長距離推進を実現

埼玉県が進めている「芝川・新芝川清流ルネッサンス」(水環境改善緊急行動計画)は、関連する行政機関が連携するとともに地域の取り組みと一体になって快適な水環境の創出を目指すもので、各分野において事業や活動が展開されている。
この水環境改善計画の一環として実施されている「芝川水環境改善導水事業」の導水管布設工事(芝川と六ヶ村用水を呼び径800mmの強プラ管エスロンRCPでつなぎ、毎秒0.29m3の水を六ヶ村用水に圧送)に、新たに開発した呼び径800mm対応のリフトイン工法が採用され、830mに及ぶ長距離推進(途中にバーチカルカーブあり)を実現するとともに小口径へと適応範囲を広げたリフトイン工法の施工性の良さを証明した。

呼び径800mm対応のリフトイン工法

さや管工法による830mの長距離推進は他にほとんど例をみないもので、しかも呼び径800mm対応のリフトイン工法にとっての初施工。二重の意味で新規性の高い土木工事となった導水管布設現場(川口市内)を訪ねて、口径1000mmのさや管内を極めて円滑に走行する新開発のカゴ型運搬台車と低重心バッテリーカーの活躍を目の当たりにしたあと、2ヶ月間の工事完了を待って、このたびの導水管布設工事に携わった方々のお話をうかがった。
まず、さいたま県土整備事務所で芝川改修事業を担当されている松田勝幸課長さんに導水管布設の目的を聞かせていただくと、「芝川と六ヶ村用水の間に布設した導水管は、国土交通省が実施した荒川からの導水事業(毎秒1.11m3)により大幅に水質改善された芝川の水を、緑川や堅川などの支流に送るためのもの。
その導入ルートと方法は、芝川の八丁橋下流に設けた取水樋管から毎秒0.29m3の水を取水して緑川の上流に位置する六ヶ村用水に圧送。六ヶ村用水から緑川の上流、堅川の下流を経由して閉鎖河川になっている旧芝川に送って水環境改善を図る」とのこと。
また、導水管布設工事とリフトイン工法については、「リフトイン工法を採用したのは、取水樋管の下流約150mの地点から六ヶ村用水まで約830mの区間で、さや管となるヒューム管を地下約7mの深さに推進工法で施工したのち、呼び径800mmの強プラ管エスロンRCPをリフトイン工法によって布設した。
口径1000mmのヒューム管に呼び径800mmの強プラ管が入ると聞いたときは正直驚いたが、実際に施工してみると安全確実な工法だし、施工も早いという印象がある」と、呼び径800mm対応リフトイン工法の施工性の良さを評価していただいた。(芝川沿いの約150mについてはエスロンRCPを開削工法で布設)

呼び径800mmでも施工性の良さを証明

この導水管布設現場の立て坑は六ヶ村用水側の発進坑と芝川側の到達坑の2箇所のみ。
発進坑から吊り下ろしたエスロンRCPをカゴ型台車に担ぎ上げ、低重心バッテリーカーで到達側まで次々に搬送するという、まさに830mの長距離推進となっただけに施工現場の感想はどうか。そのお話を強プラ管布設工事を担当された島田建設工業(株)工事部の河辺幸雄主任さんに伺うと、「小口径の長距離推進だからといって施工スピードが落ちるということはなく、いつもどおり管内の酸素濃度に十分な配慮をして常時エアーを送り込んでいたほか、特に気を使うことはなかった。
確かに当初は管の搬入口から施工箇所までの距離が長く、その往復にどれほどの時間がかかるのか気になったが、新たに開発されたカゴ型運搬台車や小型バッテリーカーの性能が良く、とにかく早いという印象。
軌条レールを設ける手間がないことも工期短縮につながっているし、あまりに早く施工が進むために強プラ管エスロンRCPの現場ストックがなくならないか、と心配になったくらいですから」と笑顔で施工性の良さを裏付けてくださった。
老朽管更生工法を中心に数多の実績を重ね、今また呼び径1000~2600mm から800~2600mm へと適応範囲を広げることで、新たな領域へと踏み出した強化プラスチック複合管エスロンRCPによる「リフトイン工法」の御採用をぜひ御検討ください。

リフトイン工法を採用したのは、トンネル(高さ2050mm、底辺1500mm、最大幅1700mmの馬蹄形)が狭く、この中に必要断面(口径1350mm)の強化プラスチック複合管を円滑に布設するため。
従来の鞘管工法と違って軌条および台車スペースがいらないリフトイン工法だと必要断面の確保が容易で、作業性が良く搬入口も少なくて済む。
歩掛かり調査を行っているところだが、軌条を設置しないだけでもコストダウンにつながる」と話してくださった。

  • 実物大評価実験風景

  • 発進坑の様子

  • 強プラ管エスロンRCPの吊り降ろし

  • 強プラ管エスロンRCPの担ぎ上げ

  • φ800のRCPをφ1000のさや管に挿入

  • RCPへカゴ型運搬台車を引き込む様子

水質改善された芝川

現場のニーズが新たな開発に

松田課長さんを驚かせた呼び径800mm対応リフトイン工法の秘密は、新たなカゴ型運搬台車と低重心バッテリーカーの開発。
その初施工の場となった導水管布設工事を設計監理されている日本水工設計(株)東京支社第2技術部設計第1課の古川富章主任さんと同社関東事務所設計課の山下正盛主任さんに採用までの経緯をお伺いすると、「導水管の施工場所は住宅地で布設場所も地下約7mと深いため、平成13年頃の基本設計段階ではシールド工法でトンネルを築造し、その中に鋳鉄管を布設するという計画もあったが、この工法だと工事費の増大が予想された。
そこでシールド2次覆工とは別に830mの長距離推進ができる工法がないものかと模索しているところにセキスイの技術員がであると聞かされた。
しかし、当時のリフトイン工法の適応範囲は呼び径1000~2600mm。この現場の設計に合わない。
そこで呼び径800mm(さや管の口径1000mm)に適応できるカゴ型運搬台車と小型バッテリーカーの設計、開発をセキスイに依頼。実際に実物大のモデル配管をこしらえてテストを繰り返しながら試作評価、改良を行った結果、平成14年に実用化の目途が付き、今回の導水管布設工事に採用することになった」とのこと。
つまり今回の導水管布設工事は、呼び径800mm対応リフトイン工法にとって初施工の場であると同時に、新たなカゴ型運搬台車と低重心バッテリーカー開発の契機となった現場というわけ。
そのようなお二人に実際に830mという長距離さや管施工を行ったあとの感想をお聞きすると、「シールド2次覆工に比べると原始的な工法という印象があったが、工事費などを勘案すると原始的というより原点に立ち返ったというべき確実な工法」と、830mの長距離推進による施工を予定通り2ケ月の工期内に円滑に完了したリフトイン工法の良さを認めていただいた。

呼び径800mmでも施工性の良さを証明

この導水管布設現場の立て坑は六ヶ村用水側の発進坑と芝川側の到達坑の2箇所のみ。
発進坑から吊り下ろしたエスロンRCPをカゴ型台車に担ぎ上げ、低重心バッテリーカーで到達側まで次々に搬送するという、まさに830mの長距離推進となっただけに施工現場の感想はどうか。そのお話を強プラ管布設工事を担当された島田建設工業(株)工事部の河辺幸雄主任さんに伺うと、「小口径の長距離推進だからといって施工スピードが落ちるということはなく、いつもどおり管内の酸素濃度に十分な配慮をして常時エアーを送り込んでいたほか、特に気を使うことはなかった。
確かに当初は管の搬入口から施工箇所までの距離が長く、その往復にどれほどの時間がかかるのか気になったが、新たに開発されたカゴ型運搬台車や小型バッテリーカーの性能が良く、とにかく早いという印象。
軌条レールを設ける手間がないことも工期短縮につながっているし、あまりに早く施工が進むために強プラ管エスロンRCPの現場ストックがなくならないか、と心配になったくらいですから」と笑顔で施工性の良さを裏付けてくださった。
老朽管更生工法を中心に数多の実績を重ね、今また呼び径1000~2600mm から800~2600mm へと適応範囲を広げることで、新たな領域へと踏み出した強化プラスチック複合管エスロンRCPによる「リフトイン工法」の御採用をぜひ御検討ください。