エスロンタイムズ 102号に掲載されました。

急勾配(最大14度)のサイホン管を急勾配(最大14度)のサイホン管を
パイプインパイプ工法で全面改修パイプインパイプ工法で全面改修
国営「米沢平野二期農業水利事業」の一環国営「米沢平野二期農業水利事業」の一環

西幹線用水路のサイホン管改修工事風景
(強化プラスチック複合管エスロンRCPへの
カゴ型運搬台車引き込み)

豊かな稔りを次世代に
リフトイン工法で老朽施設改修

山形県の南端に位置し、最上川の両岸に広がる置賜盆地(米沢市、南陽市、高畠町、川西町に跨がる日本有数の穀倉地帯)。篤姫につづくNHK大河ドラマ「天地人」(上杉景勝の重臣、直江兼続を主人公に平成21年から放映予定)の舞台ともなるこの地で今、水の恵みと豊かな稔りを次世代に引き継ぐため新たな水源確保と老朽水路の改修を目的とする国営かんがい排水事業「米沢平野二期農業水利事業」が展開されている。
その米沢平野二期農業水利事業の一環としての西幹線用水路7号サイホンならびに10号サイホン改修工事にパイプインパイプ工法が採用され、「エスロン リフトイン工法」(急勾配に強いタイヤ式低重心バッテリーカーとタイヤ式カゴ型運搬台車で強化プラスチック複合管エスロンRCPを既設管路内に搬入設置する軌道不要の工法)によって両サイホン改修工事が無事完了したと聞き、根雪が残る3月中旬、同事業を担当しておられる農林水産省東北農政局米沢平野農業水利事業所(米沢市駅前3丁目)を訪ねた。

東北農政局
米沢平野農業水利事業所の
中田所長さん

急傾斜のサイホン管全面改修に
強プラ管エスロンRCPを採用

JR奥羽本線や山形新幹線の米沢駅から3分ほどのところにある米沢平野農業水利事業所の門を潜り、出迎えてくださった中田公作所長さんに今回の事業概要ならびにサイホン改修工事についてお聞きすると、
「米沢平野二期農業水利事業(平成18年10月に事業発足、平成26年度事業完了を目指している)は、昭和33年の大干ばつを契機に開始された前歴事業(国営一期、昭和43年度から57年度まで)で造成された水窪ダムや用水路など基幹水利施設のうち老朽化が著しい施設の改修。また、地球規模で顕在化する気象状況の変化に対応するための渇水対策(新規水源の確保と用水路の建設)が大きな事業目的になっている。
西幹線用水路の7号、10号サイホンについても約30年を経て既設管(PC管)の目地劣化等により漏水事故を繰り返すため、こののち整備を進める老朽施設改修工事の一環として管路の全面改修を計画。
最大14度の勾配がある現場での施工性、安全性、耐久性、経済性などについて鋼板内巻き工法や反転工法等各種工法を総合的に比較検討し、最も合理的な方法として粗度係数が小さく、外圧に強い強化プラスチック複合管(内挿用薄肉管)を既設管内に設置するパイプインパイプ工法の採用を決定。両サイホンの改修工事を実施した」と説明してくださった。

既設PC管内でのカゴ型運搬台車による搬入状況
(軌道不要)
エスロンRCPと既設管の間隙に裏込め材
(エアモルタル)を注入
東北農政局
米沢平野農業水利事業所の
志賀課長さん
 
東北農政局
米沢平野農業水利事業所の
大内係長さん

強化プラスチック複合管による
パイプインパイプの経済性評価

この両サイホンの改修工法選定について同事業所工事第2課の志賀光治課長さんは、
「当初設計では内挿管に鋼管を予定していたのだが、昨年の鉄の値上がりで他の工法を含め施工性、経済性等を見直すことになり、急勾配管路内においても安全に施工でき、経済的であるとともに高寿命化、耐震化が可能な強化プラスチック複合管によるパイプインパイプ工法に決定した」
と、その経緯を説明してくださった。
また、同課の大内和彦係長さんは、
「7号サイホン(既設管1650?、管体部約300m)で呑み口側10度、吐き口側4度。10号サイホン(既設管2000?、管体部約100m)で呑み口側6度、吐き口側14度の勾配があり、強化プラスチック複合管を搬入した施工事例も少なく、安全に施工できるか不安があったが、急勾配部での施工方法についてメーカー等の説明を聞くなどして安全を確認。人力で搬送する場合と専用の搬送据付装置を利用する場合を比較検討のうえ、経済的かつ安全性の高い工法で施工することになった。
実際に両サイホンの施工にかかったのは今年1月下旬からであったが3月中旬には管体部の改修工事が完了した」
と、急勾配を有するサイホン管へのパイプインパイプ工法適用までの経緯を話してくださるとともに、実施工での成果を評価してくださった。

カゴ型運搬台車で芯出し作業の効率アップ 改修なったサイホン管と発進ステージ(水槽部)
黒田組の園部作業所長さん

芯出しと管接合に威力を発揮
リフトイン工法で施工性アップ

両サイホン管改修工事が行われた現場は、四方を山に囲まれた置賜盆地の中でも笹野山や栃窪山の山裾に位置する米沢市笹野本町および笹野町の一郭。
米沢平野を取り囲む里山の山裾に沿って南北に施設された西幹線用水路がそれぞれの山襞の谷間を横切るところに7号サイホン(上流側、強化プラスチック複合管φ1200?で改修)と10号サイホン(下流側、強化プラスチック複合管φ1500?で改修)があった。
そのサイホンの呑み口、吐き口でエアーモルタル充填まで完了した既設管PCと強プラ管の仕上がり状況(上の写真)を拝見したあと、これらサイホン管の施工にパイプインパイプ工法の中でも軌道不要の低重心バッテリーカーとジャッキ機能を備えたカゴ型運搬台車を大きな特長とする「エスロン リフトイン工法」を選択採用して施工にあたられた(株)黒田組(山形県西村山郡河北町)の現場事務所を訪ね、作業所長の園部淳一さんにリフトイン工法によるサイホン管施工についてお話を伺うと、
「呑み口と吐き口水槽を発進ステージに利用し、そこでリフトイン工法の大きな特長の一つであるタイヤ式カゴ型運搬台車に強化プラスチック複合管エスロンRCPを取り付けた。通常の現場であればそのままタイヤ式低重心バッテリーカーで既設管路内を搬送するのだが、ここでは最大14度もの急勾配があるため安全確保の観点から水槽にウィンチを取り付け、エスロンRCPを搭載したカゴ型運搬台車だけを先に吊り下ろした。
そのカゴ型運搬台車が平坦部に達したところでバッテリーカーを送り込み、カゴ型運搬台車に連結して管路内を搬送。人力に遥かに勝るバッテリーカーの搬送能力とカゴ型運搬台車のジャッキ機能により容易に芯出しや管接合ができるなど、スピーディに施工することができた」
とのこと。
また、両サイホン管の曲り部については強化プラスチック複合管エスロンRCPの同質曲管を使用し、管路途中にあった既設の排水用鋼製異径管とエスロンRCPとの接続は鋼製変換継手(三つ割)を現場溶接して施工したとのことであった。

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